
医師の大変さをもっとみんなに知ってほしい。患者さんのために自分の時間、体力、時には健康を犠牲にして頑張っているわたしたちのことを理解してほしい。
現場からはこんな声がよく出ます。
そこで今回は医師という職業の業務内容を解説しようと思います。最近では世の中の変化とともに、なりたい職業の上位に来ることは少なくなりました。それでもどの年齢層でもトップ10には入ってますし、年収も高く、尊敬もされるため、あこがれの職業であることには変わりないでしょう。しかし、医師という職業は生半可な気持ちでなるときっと後悔します。はっきり言ってめちゃめちゃ大変です。さあ、それでは医師という職業の中身を見ていきましょう。
日中の仕事内容
それでは実際にわたしがどのように働いているのか見ていきましょう。まず勤務は9時前くらいから始まります。基本的に病棟業務から一日が始まります。患者さんの回診をして、治療方針を決定する。そして投薬や点滴の調整などをしていきます。われわれ医師は「オーダー」といって看護師さんやリハビリの先生たち、放射線技師さんたち、薬剤師の先生たちなどに指示を出します。するとその指示に従ってみなさんが動いてくれます。もちろん医師にしかできない処置もあるので、その時はわたしたちが実際に処置をします。
さて、救急当番の医師には「救急患者の対応」という仕事もあります。午前中は基本的に一般外来を受診していただくことにはなっていますが、救急車の対応は救急当番の医師が対応します。たとえ病棟業務が残っていても緊急の対応が必要になるケースも多いため、優先して救急外来に降りて対応します。そして落ち着いたらまた病棟業務の残りを片付けるのです。
前述したように一般外来という業務もあります。定期的にフォローアップしている患者さんを診察したり、新規の患者さんの対応に当たったりと日によって忙しさは異なりますが、だいたい週1,2回あります。そして診察や検査をして入院が必要と判断されれば、その説明や手続きも行います。
そんなこんなで午前が終わると今度は午後の業務に移ります。午後は医師によって仕事が異なり、救急当番として救急外来に来た患者さんの対応をする役目の医師もいれば、専門外来と言って自分の専門分野の患者さんを見る外来を行ったりします。そしてそれらが終わったら夕方の回診を済ませ、順調に進めば17~18時ごろに、その日の日中の仕事は終わります。ちなみにこれは最低限の仕事です。残業するのは当たり前の状況です。
もうひとつ医師には仕事があります。それは学会発表です。自分の研究や経験した症例をほかの医師たちと共有、勉強するため発表の何か月も前から原稿やスライド作りを、激務の合間あるいは家に帰ってからもパソコンで行います。
当直という仕事
医師の大切な仕事に「当直」という仕事があります。医師は日中の仕事が終わったら「当直帯」という時間に入ります。この「当直」は時間外に救急外来に受診した患者さんの対応をしたり(時には入院対応したり)、病棟の患者さんで対応が必要になった時のために、次の日の朝9時ごろまで病院に寝泊まりする仕事です。
この当直という仕事はその日によって受診される患者さんの数が違ったり、病棟で何が起こるかによって忙しさが変わってきます。ほとんど何もなく一日が過ぎる、いわゆる「寝当直」の日もあれば、「忙しくて2時間しか寝れなかった」ということもあります。
ここでみなさんに質問です。日中仕事をして当直業務を終え、新しい朝を迎えたわれわれはその後どうすると思いますか?…..
正解は「そのまま12時ごろまで継続して働く、あるいはそのまま日中業務をして帰る」です。…..
「え….」と思いましたか?それが正常な反応だと思います(笑) つまり、合計で27~32時間くらい病院に居続けることになるのです。そして次の朝にはいつも通り出勤するのです。
ストレスを感じる要因
ところで医師はなぜ離婚率が高いと言われるのでしょうか?なんだかその理由の一端が垣間見えたような気がしますね(笑) 上記のように医師は身体的ストレスがあるのはもちろんのこと、患者さんの病状を把握して「判断を下す立場」にあります。つまり精神的ストレスも尋常じゃないです。それも命に関わる判断です。またほかの職種と同じように職場の人間関係に悩む方も出てくるでしょう。
まとめ
以上、「医師」という職業の仕事を解説してきました。どれくらい忙しいかは病院によっても違いますし、また大学病院では臨床だけではなく研究にも精力的に取り組んでいる医師もいます。また自分の患者さんに何かあった場合は休日出勤なんて当たり前って病院もあります。なので、今回の話がすべての医師に通用する話ではありませんが、一つのモデルケースとして見てくださると幸いです。
今回は「医師」という職業の大変さを書きましたが、言うまでもなく医師の仕事内容は誇らしい仕事です。しかしその分責任や重圧が半端じゃありません。もし「これから医師を目指している」という方がいらっしゃったら、医師の仕事は想像以上にきついという認識を持って、その上でも「医師が私にとっての天職だ」こう思えるならぜひその気持ちを絶やすことなく突き進んでください。また医師になりたいと思うお子さんをお持ちの親御さん方も医師の仕事の大変さをぜひお子さんに伝えてあげてください。それでも医師になりたいと言えば、それはとても素敵なことですから。
それでは本日はこの辺で終わります。最後までお読みいただきありがとうございました。

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